2014年2月17日月曜日

記録的な大雪

この大雪で感じたこと、考えたこと

 ① 地域のつながり

私が住む地区では、それぞれ自宅前の道路をはじめ、自分の家のカーポートなどの屋根の雪下ろしを2/15に終了させ、「あすの朝、月曜日の登校に間に合うよう、こどもたちが歩ける幅ぐらいは除雪しよう」と相談して、その作業にとりかかったのが下の写真です。
撮影:2014.2.16 午前
作業開始後、「どうせなら車が通れる幅ぐらいまで除雪しよう」ということになり、皆で力を合わせて、よいしょ、よいしょと雪かきを始めたところ、区長(当地では、隣組の長を組長といい、その隣組を数組合わせた単位を区といい、その長を区長といいいます)さんが采配をふって、農家の方はトラクターで、
撮影:2014.2.16 午前
花卉栽培をされている方は、小型のショベルローダーで、地域内の道路(市道)の除雪作業が行われました。
トラクターなどを操作する手際よさ、区長さんの適切な采配によって、あっという間に車が通れる幅の除雪が完了しました。
撮影:2014.2.16 午前
「こんなにたくさん降れば、市役所が建設会社に頼んだとしても、すぐに除雪作業にきてくれないよね」と言いながら雪かきをしていた地区の皆さんにとって、トラクターなどを操作し一生懸命に除雪していただいた方々は、まさに救いの神といえる存在。

地区のなかで、リーダーが適切な指導力を発揮し、地域住民自らの力によって、早期に除雪を完了させ、生活道路の機能を回復させ、安心して暮らせるように対応する、ということは、とても大事なことではないかと思うのです。

おそらく、富岡市役所には、「早く除雪してほしい」といった要望の電話が殺到したことでしょう。
しかし、市役所の限られた予算、また、除雪作業を実施する建設会社のスタッフ数、機材等の確保状況を考えるとき、早期に市内全域で除雪作業が実施されることはありえないのではないかと思います。

やはり、地域での自助努力によって、急場をしのぎ、それでも対応できない場合は、行政の支援を要請するというのがよいのではないかと感じました。

私が住む地区の取り組みは、とてもすばらしいものであったと思います。

私が住む地区の除雪は、お蔭さまで午前中に終了したので、月曜日の午後に出かける予定もあるため、その下見を兼ねて、ほかの地区の状況を午後に見てきたところ、まだまだ除雪の真っ最中といったところでした。
撮影:2014.2.16 午後
私たちの地区で大活躍してくれた花卉栽培をされている方がショベルローダーを動かし、富岡市立吉田小学校前の県道でも自主的(ボランティアとして)に除雪作業を実施していました。

この近くに住む方によれば、「今朝、救急車が来たのだけれど、県道に雪が積もっていて、救急車が入れないということで、山の遭難で使うそりを使って、急病人を運んだそうだ。救急隊員は、梅沢地区まで歩いて行って、そこから急病人をそりで搬送してきたというのだから・・・急病人が無事であればよいが」とのことでした。
撮影:2014.2.16 午前
救急車が立ち往生した県道-南蛇井下仁田線-のようすです。
この積雪では、救急車が進めなかったことは、無理のないところであったと思います。

当地の場合、雪が降っても数センチ積もる程度といったことが多いため、個人の家にも道路管理者にも、これほどの積雪に対する備えはないといってよいでしょう。
撮影:2014.2.16 午後
高速道路と交差する道路での状況です。
午後になっても動けず、片側通行になっていて、地元の方がボランティアで交通整理を行っていました。

 ② 除雪作業の担い手

建設機材を保有し、これらの機材を活用するノウハウを持った建設会社に道路管理者が委託して、除雪作業を実施していただくというのが一般的なかたちです。
建設会社にとっては、建設工事に使用している機材を使うことであり、それらの操作はお手の物であり、ダンプカー等の機材もあり、たいへん機動力がありますので、除雪作業は儲け度外視の地域貢献的な仕事という要素もあって、いまでも除雪作業が実施されているといった経緯があります。

いまは、どのような除雪作業の委託契約内容になっているか知りませんが、私が知っているところでは、道路管理者から建設会社に対して、除雪に要した実費+諸経費分を支払う、といった内容であったと記憶しています。

つまり、雪が降って、除雪作業が行われれば、道路管理者が除雪費用を建設会社に支払うのですが、冬期間に1回も除雪作業が実施されないときは、建設会社に1円も支払われないということになります。

『仕事をしないのだから、支払われないのは当然だ』と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実は除雪のための機材の確保がままならない状況になっている建設会社が多いのです。

たとえば、グレーダーという機材ですが、これは道路工事や造成工事などの際、でこぼこを平らにならすときに使うために多くの建設会社が保有してきました。
撮影:2014.2.16 午後
たまたま、きのうの午後、通りかかった食品会社の工場内で、除雪作業中のグレーダーを見ましたので、それを撮影させていただいたものですが、ある程度の年齢の方々は、『砂利道のでこぼこをならすため、がりがりと路面を削っていった機械か』と思い出された方もおられると思います。

このグレーダーですが、いまではこの機械が活躍する工事現場がなくなり、数年前から除雪のためだけに保有しているという建設会社もありました。

その建設会社の方から「車検費用、チェーンの購入代など、かかる費用は、ばかにならないんだ」とお聞きしたことがあります。

つまり、こうした維持費用を建設会社が負担していても、雪が降らず除雪作業がなければ、維持費用は建設会社のまったくの持ち出しになってしまうのです。

数年前、新聞に掲載されましたが、「いまの委託契約内容では、建設会社が除雪作業の体制を維持するのは難しい」とする群馬県建設業協会の発表もありました。

私たちが暮らしていくうえで、こうした大雪の際の除雪作業、夏の大雨などによる災害の復旧工事などについては、建設会社の方々の力がなければどうすることもできません。

これまでの公共事業費に関する議論に加えて、
 地方における建設会社の役割、
 私たちが安心して暮らせるためのコスト負担、
 目先だけの工事費でなく、トータルなコストとしての適正な算出基準、
 総合的な視点に立った地域づくり、インフラの整備と維持・保全
といったものを根本的に考え直すことが必要ではないか、
    とそんなことをつよく思いました。

もうひとつ、無理をして走ってきて、とうとう動けない・・・といって、車を置き去りにする方がいますが、除雪作業はもちろんのこと、緊急車両が通れないといったことになります、
撮影:2014.2.16 午前
車の置き去りは、やめてほしいものですね。

最後に、富岡市の防災無線放送をお聞きください。
私は、いまの建設会社の状況と地方財政の状況を考えるとき、この状況が今後も続くとすれば、このような内容の放送が一般化し、さらには「雪かきは、地域の皆さんでお願いします」といった内容になるのではないか、とそんなふうに思っています。

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