2014年2月5日水曜日

富岡製糸場と絹産業遺産群

文化財の維持保存には、お金がかかる!!!

富岡市の広報紙「広報とみおか(2014.2月号 №95)」には、富岡製糸場の整備に関連して、
現在進めている整備事業および計画
として、
 総合防災計画の策定 → 平成25年度作成中
 南面崩落対策 → 平成25年度設計中、平成26年度工事実施予定
 西繭倉庫の保存修理 → 平成26年度設計、工事実施予定
が掲載されています。

さて、富岡製糸場の整備等に要する予算ですが、「とみおか市議会だより(vol.40 2014.2.1)では、市長と市議会議員で、つぎの質疑が行われたことが紹介されています。


市長の答弁によれば、
 国 50%、群馬県 25%の補助金の交付を受けている。
 残りの25%を富岡市が負担
するとなっています。

予算の総額が100億円ですので、
 国が50億円、群馬県と富岡市が25億円ずつ負担
する計算になります。

そこで、私の疑問ですが・・・

 ① 市長は、「補助金の交付を受けている」と答弁していますが、来年度、再来年度以降に予定している整備事業についても、国(文化庁?)と群馬県(世界遺産推進室)から、すでに補助金を受けている-富岡市の口座に国と群馬県から補助金が振り込まれている-ということなのでしょうか。
 多少なりとも補助金制度を知っている私には、とても不思議なことに思えてなりません。
 年度をまたいでの補助金交付もないわけではありませんが、まだ具体的に整備事業内容が確定していない段階で、整備事業全体の概算額をもとにして、その概算額をもとにした補助金交付は、まずないといってよいのではないでしょうか。
 むろん、補助金の概算払いをしておいて、事業額確定後に精算払い(補助金交付額の確定)といったこともありますが、すでに補助金全額の交付を受けているということに疑問を感じています。
 
 なお、きょうの上毛新聞に、群馬県の来年度予算の内示額が掲載されましたが、群馬県の世界遺産推進予算は、133,098千円になっています。
 
 ② 市長は、富岡製糸場基金が1億4千万ほどあると答弁していますが、残りの24億円ほどを確保する手立てを述べていません。
 いまの富岡市の税収等の歳入や、歳出に占める経常的経費などの割合を考えるとき、富岡製糸場の整備に24億円もの予算を確保することは、たやすいことではないと思われます。
 どのように財源を確保するのか、市民の多くは、このことを知りたいと思っているのではないかと思います。

 ③ 日本国内、群馬県内には、たくさんの文化財(国宝、重文、史蹟、名勝)がありますが、その文化財を所有されている方々(個人所有の文化財も多く、社寺や博物館、財団法人なども多くの文化財を所有しています)に共通する悩みは、しっかり文化財を維持、保存するためは、お金がかかるということなのです。
 よく聞くのは、
 文化財に指定されると、ちょっとした修理も簡単にできず、いちいち指定したところ(国とか県、市など)にお伺いをたてなければならず、修理をしてよいという許可が出ても補助金は出ないし…
といったことです。
 いまの段階では、富岡製糸場は、日本国内にたくさんある文化財のひとつなのですが、ポンと(かどうかわかりませんが)
 国が50億円
 群馬県が25億円の補助金を交付してくれた
ということを、ほかの文化財所有者の方々が聞けば、たいへんうらやましいと思うのではないでしょうか。
 世界遺産に登録される、という期待値による国と群馬県からの特別な補助金交付ということであれば、かりに世界遺産に登録されなかった、というときには、富岡製糸場も他の文化財と同列ということで、国と群馬県から「返還してくれ」ということになるのかも・・・
 そのような事態になれば、
 整備事業費の全額100億円が富岡市の負担
といったことになってしまうのでしょうか・・・

 私には、よくわからないことばかりの世界遺産への動き、疑問だらけということになります。

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