こどものころの思い出
私がこどものころ、春から秋にかけて、生家はたくさんお蚕を飼っていました。
とくに夏のお蚕は忙しく、お盆(月遅れの8月)前までは、目が回るほどの忙しさでした。
こどもも親と一緒に桑畑に行き、
桑取り(お蚕が小さいときは、桑畑から桑の葉だけを取ってきますが、お蚕が大きくなってきて、桑の葉をたくさん食べるころには、桑の枝ごと切ってきて、その枝のままお蚕に桑を与えます)をさせられ、それを家まで運んだり、
お蚕の成長に応じて、何時間おきに桑くれをする、といったことになっていましたので、その時刻になりますと、夜中でも
桑くれ(お蚕に桑を与えること)をさせられたものでした。
たくさんのお蚕が桑の葉を一斉に食べ始めますと、まるで夕立がしてきたかのような音が聞こえてきます。
私がこどものころは、生家をはじめ、集落内の農家全体が養蚕農家でもありました。
JA甘楽富岡の機関紙7月号(つぎの岩崎正春さんの投稿を参照)
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=657463637674606&set= pcb.657464291007874&type=1&theater |
岩崎 正春さんの投稿の写真 |
には、養蚕農家が減少してきたようすが掲載されています。
JA甘楽富岡内の養蚕農家は、
昭和43年 7,709戸 → 1968年
昭和62年 2,403戸
平成9年 279戸
平成25年 20戸 → 2013年
昭和43(1968)年から45年間で、
7,709戸の養蚕農家が20戸
になってしまいました。
私の記憶に間違いがなければ、私の生家をはじめ多くの養蚕農家は、繭の価格が低迷していた昭和40年代のはじめには、桑の木を抜き取って、桑畑を普通畑に変えて、主にこんにゃくいもの栽培に転じました。
おそらく、昭和43年の7,709戸が当地における養蚕農家数のピークか、減少が始まったころの数字ではないかと思います。
養蚕農家に育った私の経験(といってもこどものときに手伝わされた程度で、自らが主体的に養蚕に取り組んだわけではありませんが)からいえることは、養蚕は過酷な労働の連続であり、ほかの農作業の比ではないほど苦労が多いものです。
生産した繭が高価な金額で売れるときは、農家は苦労したかいがあった、と喜ぶことができますが、苦労して生産した繭が高い金額で売れない・・・ということが続きますと、これ以上養蚕を続けるわけにはいかないということになって、養蚕農家は急激に減少していったということでしょう。
いまでは、桑畑がしいたけのほだ木置き場になっていたり、荒れたままになっているところを見かけます。
私がこどものころ、いちばんいやであったお蚕の手伝いは、おおあげ(繭をつくるための〝まぶし〟に熟蚕となった蚕を移動させる作業)後の蚕糞(こくそと呼んでいました)片付けでした。
とくに夏のお盆前のこくそ片付けは、暑い天気のさなか、お蚕の糞などが腐敗していく熱もあって、バラック(私の生家では、主に母屋の2階には、回転まぶしを下げるため、お蚕は別棟のバラック(鉄骨造)などで飼育していました)のなかが、サウナ状態になっていて、そこで汗びっしょりになりながらの作業は、たいへんつらいものがありました。
また、お蚕の糞などのにおいは、お風呂に入って、ていねいに頭髪、からだを洗っても「くさいな・・・」と自分でも思うほど強烈なものでした。
いま、養蚕農家が減ってしまいましたが、かつては一家総出でお蚕を飼って、多くの養蚕農家が一生懸命に生きていた時代があった、というたわいない私の思い出でした。
【これまでの養蚕関連のブログ記事】
http://geogunma.blogspot.jp/2013/06/blog-post_24.html |
ジオサイト-荒船風穴 養蚕の神々 |
http://geogunma.blogspot.jp/2013/07/blog-post_4.html |
上信電鉄 初めて列車が走ったころトンネルがふたつあった!? |
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繭と生糸は日本一 下仁田社 |
http://geogunma.blogspot.jp/2013/06/blog-post_27.html |
上毛かるた 繭と生糸は日本一 |
そして、いまはお蚕様は、こんなかたちで私たちを楽しませてくれています。
新聞やテレビなどでご覧になったり、すでに「食べたよ!」という方も多いかと思います。
この画像は、
http://blog.goo.ne.jp/gunma-daisuki/e/09744f37e8780197aed6929da65da3dc |
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こちらは、おかいこクレープです。
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時代とともにお蚕の役割が変化する・・・ということかもしれません。
夏になると思い出すお蚕のこととあわせて、最近のおもしろい話題を紹介させていただきました。
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