2018年1月26日金曜日

まだなのかな?早く知りたい!

日本ジオパーク委員会の審議内容-議事録-

昨年末に再認定審査の結果が発表(↓)

-速報-ジオパーク下仁田 再 認 定!! おめでとう!!

されましたが、その審議内容-議事録-について、まだ日本ジオパーク委員会のHPでは公表していません。

もっとお金かけろってことなのか?【補足】 日本ジオパーク  いちばん大事なことは・・・?

で、茨城県知事の会見に関する記事を紹介しましたが、この記事のなかで、昨年末の再認定審査結果について、

 審査結果の詳細は1月下旬ごろ正式に報告される。それを踏まえて今後の対応を関係者と協議していきたい。

と茨城県知事が述べていましたので、『もうぼつぼつかな・・・』と思って、日本ジオパーク委員会のHPを見たところ、2017.9.27に開催された
 第31回日本ジオパーク委員会の議事録(案)
がアップされていました。

速報!再認定・新規認定審査結果 日本ジオパーク

で紹介したとおり、2017.9.27の第31回日本ジオパーク委員会において、山陰海岸と阿蘇が条件付き再認定に、十勝岳が認定見送り、国引きが認定保留になりました。
第31回日本ジオパーク委員会議事録(案)では、再認定などの審議のほか、
 議題3 委員会構成の見直し
 議題4 自己評価表の試行について
も話し合われていて、その内容にはとても興味深いものがあります。
たとえば、議題3のところには、
 「日本が他の国と異なるのはユネスコ世界ジオパークと同じようにしているところ」
 「日本ジオパーク委員会のメンバーで、これから再認定を続けていくのは、皆さん、他に主な仕事をお持ちなので辛いと正直思う。(略)もっと時間をかけられる人が集まって別の組織で報告書を作るのがよいかと思う」
といった意見があります。
これを読みますと、日本ジオパーク委員会の運営に関する課題があることがうかがえます。
また、議題4のところには、
 「自己評価書を文章として公表する。委員会の審査結果も公表する。その両方をみてジオパークのことを一般の人が理解する。自己評価書を文章にして報告書として作成してもらうシステムを導入したらよいのではないかと提案した」
という意見があります。
これは、日本ジオパークの再認定審査について、審査基準の透明性、審査の公平性などを考えるとき、とてもよいことであると思われます。

<下仁田>
委員:教育委員会の責任者が誰も応対しないという状況。3 人高崎に前泊して上信鉄道で 1 時間ほどで現地に入った。看板などはあるのだが、ジオパークに来たと感じさせるものがあまりなかった。率直に言って、根本的には体制の問題が大きいと思う。
ジオパークになった当初は教育委員会の中に推進室がおかれていたのだが、いつからか下仁田町の観光振興係にうつした。富岡製糸場と絹産業遺産群の荒船風穴が世界遺産となり、その文化遺産については教育委員会が担当、ジオパークは観光振興課が担当するという仕分けができたと想像する。そのふたつの連携がうまくいっていない。看板がわかりやすくなったところもあるが、まだまだ問題あり。
ねぎとこんにゃくが重要な特産だが科学的な意味を研究することがまだされていない。それぞれいいところと改善すべき点が多々ある。教育委員会で雇用された人が荒船風穴の説明をするが、そこでなぜ荒船風穴ができたことの説明がなかった。細かくてできないとのことだった。ガイドの人も一緒になっていないという状況。
住民参加については下仁田応援団という体制ができて、やる気のある方が参加されているのは進歩だと思った。しかしツーリズムを基本にやっていこうということがでているのだが、まだまだ全体として足りない。7-8 年前に 1 万人いた人口が今、8 千人程度になっている。
これからどんどん人口が減っている中でジオパークを基本にすえて下仁田を活性化させるにはまだまだ問題がある。ジオパークを中心にして地域振興をすすめてもらいたいと思うので体制を今一度見直してもらいたい。
 それを再認定の条件にしないと自慢できるジオパークにはならないだろう。
委員:公開版のジオサイトと保全のところ。ジオサイトの科学的な説明が不十分なところがある。この地域でもともと活動している下仁田自然学校という地質学者の研究成果に基づいているところ、4 年間の中で大きな進歩があったとは言い難い。看板は毎年予算をつけてわかりやすく変えられているが、日本列島の地質構造を地質の切り口で説明するところが、根本的にわかりにくい。
地形地質を別の視点で説明することができていない。その後の調査もあまり積極的にされていない。地形学的に説明しようとすればできるところがされていない。ねぎ、こんにゃくも。違う視点で説明しようとせずわからないところをそのままにしている。
地学的な風穴としての価値でなく、世界文化遺産に認定された風穴はどういうものかという説明だけ。その地質構造とかも加えれば立体的な説明になる。世界遺産になった荒船風穴が下仁田の中にあるということで全面的に出してはいるが、ジオパークのなかの位置づけは不十分。教育委員会が管轄することになったのでジオパークの事務局としては把握していない。
もともと地元で地質の調査をしていたグループによる教育活動は評価されていたが、その授業を実際に拝見した。中学生に非常に高度な地質年代の話などをしており、どのような教育をすればいいかということが共有されておらず下仁田教育学校にまる投げしている。地質学の高度な論文を書く人が教育の場でジオパークとして何を教えればいいかということを共有していない。
管理組織運営体制についてはさきほどおっしゃったとおり。
ガイドの講習を受けた人達が応援団を作り勝手にやっている。自分たちが中心にやるというより応援する。観光協会が窓口になってガイドを紹介するという連携はとれているが、下仁田ジオパークのなかの位置づけは不明瞭。
推進協議会では、来年何をするか意見を上げられるしくみがない。
町の予算の中で一セクションが事業計画をつくっているが、どういうジオパークにするかの議論がない。
応援団やジオパーク以前からあった下仁田自然学校は、それぞれの団体が連携はあるものの各自、自由にやっている。あまりシステマティックでない。学校教育の場では内容が難しすぎたり、簡単だったり。責任の所在、計画がない。議会に対しては決算報告はしているが地域住民に情報が共有されているわけではない。四番目の地域持続可能な開発のところでは地域振興を中心にしたい。
人口が減りつつある中、鉄道も世界遺産もあるので人は来られるが、具体的に観光によって地域をおこしていくのだとかジオパークを利用してどうすべきかというのはあまり明瞭でない。
意思決定機関がはっきりしないところ、地域の住民の声をすいあげるしくみができていないところなどいくつかの制度上の不備があるために、新しいやり方や、いままでのやり方がいいのかという議論ができていない。
ガイドが応援団を自主的に組織し、実際に現地を案内してくれたが、内容的に問題があった。
下仁田自然学校のガイドからは別の機会に聞いたのだが、一般向けでなく専門家向け。
ガイド講習をうけ、次年から応援団として活動されている方たちは不正確なところがあり、全体をうまく伝える人がまだいない。
養成講座はしているが、計画的にはない。
商品開発もしており、座布団を地層にみたてて売っているなどもしているが。どういうことをしていけばいいのかがわかっていないような気がする。
前回最初に認定されたときの宿題で対応できているのは一部分だけ。
結論は 3 人の中でも少しもめた。
条件付きの再認定を出して危機感を持ってもらうか。
委員長:明確な結論がないままだが。
委員:前回は私と小泉さんとで行った。「ねぎとこんにゃく」について、ジオとの関係について科学的な裏付けが欲しいという指摘に基づいて、研究をすすめようとしたが、地元の人に反対された と聞いている。
ジオパークに取り組む覚悟はできているのかどうか疑問だ。
委員:協議会長は町長。何をしたいのかわからない。普段から考えていることとジオパークがうまくつながっていない。われわれにメッセージまで伝えられない。
委員長:ねぎとこんにゃくの科学者はいるのか。
委員:科学者はいない。地域内比較すると土が違うのはわかっているが、どこがよいとか公表したくない。やり方はいろいろありそうだが。
委員長:それぞれの地域のお国自慢はでてこないのか。順位でなく、種類の違いという意
 識は。 委員:お国自慢はでてこない。下仁田ねぎブランドの差をつけたくない。
委員:テーマを変えたいきさつについて説明はあったか?
委員:テーマはあまり議論がなかった。いただいた資料には混在して、「ねぎとこんにゃくジオパー ク」と載っているものもあるし「大地の足音が聞こえる」というテーマのものもある。
委員:新テーマにしたということをホームページにも記載している。
「日本列島の誕生をひもとく根無し山」というテーマが本当に下仁田のテーマなのか疑問に思う。一般の人にはよくわからない「クリッぺ」という言葉だけを前面に出すのはいかがなものかと指摘したことがあるが、その点の考えについては何か言っていたか。
委員:特になかった。看板の中ではクリッぺの説明はされている。クリッぺのようなおもしろい構造地質的なものをあまり説明しないでジオパークをみせましょうというわけではない。  
それぞれのジオサイトで見せるものは基本的に変わっていない。テーマという看板の付け替えで、根本的に再構築されていない。
顧問:このジオパークはクリッぺ抜きには成立しない。これが一番の目玉。しかし、これだけではおもしろくない。不通(とおらず)渓谷などおもしろい地形をもっと出したらどうかと指摘したことがある。忘れてしまったのかでてこない。ねぎとこんにゃくは場所によって違うのではなく、上と下の段丘面で湿り気などが違う。場所の違いというより上と下の違いを調べてくれといったのだが。最下位の段丘面にかなり水っぽいところがあり、これを使って粘土をとって焼き物を作っている。
課題がちっとも取り組まれていない。
専門員は古生物が専門なので地形のことはよくわかっていない。
委員長:条件付がよいという理由を具体的に。
委員:ひとつには組織の問題。自発的にできた応援団、観光協会、自然学校それぞれの意思判断でやっていていいという認識。
議論や計画がない。先にできた下仁田自然学校が決めたことに他は意見しにくい。
それぞれでなく、ジオパークとしてやるということをみんながわかっていない。
自然学校ではいろいろ地質を調べたりしていていいのだが、推進室が把握していない。
目指すところが見えていないで、やる気がある人だけがやっている、というのを変える必要がある。
委員長:2年後にそこがだめなら、だめということか。
委員:自然学校にしろ一応機能している。修学旅行生に説明もしている。
顧問:本宿カルデラの説明はないのか。最初に見つかったカルデラ。
委員:取り上げられている。古い時代の火山の堆積物がうまく浸食されて特徴的な岩峰のようになっているのでそれらと合わせてうまく説明すればいいのだが。ジオサイトを認識はしているが、うまく伝わるしくみがない。
ガイドもほとんどアマチュアなので納得させられる説明にはなっていない。
委員:今の協議会が形になっていないのではないか。どう作り直すかが見えていないのなら 2 年で実行し、次の 4 年くらいみていくのがいいのかもしれない。
委員長:組織に関して具体的にこちらから提示して、地球科学的に見るべきものを列挙して、言われたことを見せるという条件をつけて2 年後に再審査するということか。条件を盛りこんだほうがよい。
委員:協議会そのものをまず変えたらよいというようなことを盛り込んだほうがいいので
 は。 
委員:体制が重要で、中身もかなり詳細に言わないと改善できないと考える。
宿題としても明確なロードマップを見せてもらえないと難しい。
委員長:2 年後までに委員の先生と連絡をとりながら実行するということを条件に入れるということだろう。
委員:他のジオパークの協議会がどのようにしているかを見るべきだと思う。
委員:もっとネットワーク活動に参加してほしい。
ジオパークがどうあるものかをわかっていない。
委員長:他のジオパークを見に行くことが非常に役に立つということを上司に認識させるという条件をつければよい。

以上のことを 2 年後の再審査を受けるまでに連絡をとりながらすすめることを条件にして保留にする。そこでだめなら取り消しになることを申し上げておく。

たとえば、上に引用したのは、第25回日本ジオパーク委員会(2015.12.14)での議事録ですが、条件付き再認定になったジオパークの場合、自らが評価した自己評価書を作成し、それを公表することによって、多くの人々に解決してきた指摘事項のことも理解していただけるでしょうし、未解決の指摘事項があれば、それを公表することによって、必要な応援を得ることも可能になるという効果が期待できるのではないでしょうか。

いまの時代、積極的に情報を公開するとともに、現状や課題、がんばっている姿をこまめに発信することが必要かもしれません。
第31回日本ジオパーク委員会議事録(案)には、ほかにも気になるところがあるのですが、それはのちほど・・・ということにさせていただきます。
2017.12.22に開催した第32回日本ジオパーク委員会において、どのような審議が行われたのか、その内容を早く知りたいものです。


※1 自己評価表と自己評価書については、発表された議事録(案)のとおりに引用しました。
※2 第25回日本ジオパーク委員会の議事録からの引用に関しては、読みやすいようにと考えて、本多が改行などを行いました。
※3 日本ジオパーク委員会のHPにアクセスしていただいて、そこで実際に議事録を見てください。

0 件のコメント: